Japanische Klassiker mit Furigana
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あさくさふどき
浅草風土記
久保田 万太郎
Lesen Sie 浅草風土記 (あさくさふどき) von 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.294 Zeichen · 318 Bildschirme
……ともに、さすがに、足袋をはいていないことに徴しても、うたがいなく土地っ子の、始終この渡しに乗りつけている人たちとわたくしは鑑定した。……すなわち、わたくしは、その二人をたよることによって、その自信を得たのである。……
そのあと、また十分ほどすぎた。……依然、手がかりをさえわたくしたちはもたなかった。
「行きましょう。……あきらめましょう、もう……」
紳士はまえよりも一層心細そうにいった。
「大丈夫。……」
どこまでも、わたくしは、強情を張った。
と、そのとき、突然その引ッつめの一人はわれわれのむれをみ捨てた。通りのほうへ向いてさッさとあるきはじめた。そして、あとに、女一人、男二人、「土木局浅草出張所材料置場」といえば聞えがいい、要は製氷会社の裏の、ガランとした、真っ暗な、震災の名残をいまなおとどめている焼野原のような中に、謎のように残されたのである。
二分、三分、五分。……
「行きましょう。……通りへ行って、早く、自動車に乗りましょう」
逆に、紳士、今度は勇気を出してこういった。
「口惜しいな、けど……」
半ば自分にいうようにわたくしはいった。……わたくしとて、いつまでも、そうしていることの下らなさは知っている。