Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あさくさふどき

浅草風土記

久保田 万太郎

Lesen Sie 浅草風土記 (あさくさふどき) von 久保田 万太郎 (くぼたまんたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.294 Zeichen · 318 Bildschirme

Aozora Bunko

――勿論、そこに、三十年はさておき、十年まえ、五年まえの面影をさえさし示す何ものもわたしは持たなくなった。「渋屋」は「ペイント塗工」に、「一ぜんめし」は「和洋食堂」に、「御膳しるこ」は「アイスクリーム、曹達水」に、おのおのその看板を塗りかえたいま。――そういっても、カフェエ、バア、喫茶店の油断なく立並んだことよ。――偶々むかし、ひょうきんな洋傘屋あって、赤い大きな目じるしのこうもり傘を屋上高くかかげたことが、うち晴れた空の下に、遠く雷門からこれを望見することが出来たといっても、誰も、もう、それを信じないであろう。しかくいまの広小路は「色彩」に埋もれている。強い濃い「光」と「影」との交錯に溺れている。――ということは、古く存在した料理店「松田」のあとにカフェー・アメリカ(いま改めてオリエント)の出来たばかりの謂いではない。そうしてそこの給仕女たちの、赤、青、紫の幾組かに分れている謂いでも勿論ない。前記書林浅倉屋の屋根のうえに「日本児童文庫」と「小学生全集」の厖大な広告を見出したとき、これも古い酒店さがみやの飾り窓に映画女優の写真の引伸しの貼られてあるのを見出したとき、そうして本願寺の、震災後まだかたちだけしかない裏門の「聖典講座」