Japanische Klassiker mit Furigana
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ふくおうじでん
福翁自伝
福沢 諭吉
Lesen Sie 福翁自伝 (ふくおうじでん) von 福沢 諭吉 (ふくざわゆきち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 209.912 Zeichen · 402 Bildschirme
から、その時は私は鉄砲洲に居たが、早々その書付を焼て仕舞たけれども、何分気になって堪らぬと云うのは、私がその書付の写しか何かを親類の者に遣たことがある、夫れから又肥後の細川藩の人にソレを貸したことがある、貸したその時にアレを写しはしなかったろうかと如何も気になって堪らない、と云て今頃からソレを荒立てゝ聞きに遣れば又その手紙が邪魔になる、既に原本は焼て仕舞たがその写しなどが出て呉れなければ宜いが、出て来られた日には大変な事になると思て誠に気懸りであった。所が幸に何事もなく王政維新になったので、大きに安堵して、今では颯々とそんな事を人に話したりこの通りに速記することも出来るようになったけれども、幕府の末年には決して爾うでない、自分から作た災で、文久三年亥歳から明治元年まで五、六年の間と云うものは、時の政府に対して恰も首の負債を背負ながら、他人に言われず家内にも語らず、自分で自分の身を窘めて居たのは随分悪い心持でした。脇屋の罪に較べて五十歩百歩でない、外交機密を漏した奴の方が余程の重罪なるに、その罪の重い方は旨く免かれて、何でもない親類に文通した者は首を取られたこそ気の毒ではないか、無惨ではないか。