Japanische Klassiker mit Furigana
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ふくおうじでん
福翁自伝
福沢 諭吉
Lesen Sie 福翁自伝 (ふくおうじでん) von 福沢 諭吉 (ふくざわゆきち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 209.912 Zeichen · 402 Bildschirme
喜怒色に顕わさず
とは何の事だ、御取次衆と認めて来いと云て、手紙を突返して来た。私は之を見ても側から独り立腹して泣たことがある。馬鹿々々しい、こんな処に誰が居るものか、如何したって是れはモウ出るより外に仕様がないと、始終心の中に思て居ました。ソレカラ私も次第に成長して、少年ながらも少しは世の中の事が分るようになる中に、私の従兄弟などにも随分一人や二人は学者がある。能く書を読む男がある。固より下士族の仲間だから、兄なぞと話のときには藩風が善くないとか何とかいろ/\不平を洩らして居るのを聞いて、私は始終ソレを止めて居ました。「よしなさい、馬鹿々々しい。この中津に居る限りは、そんな愚論をしても役に立つものでない。不平があれば出て仕舞が宜い、出なければ不平を云わぬが宜と、毎度止て居たことがあるが、是れはマア私の生付きの性質とでも云うようなものでしょう。
喜怒色に顕わさず或時私が何か漢書を読む中に、喜怨色に顕さずと云う一句を読で、その時にハット思うて大に自分で安心決定したことがある。「是れはドウモ金言だと思い、始終忘れぬようにして独りこの教を守り、ソコデ誰が何と云て賞めて呉れても、唯表面に程よく受けて心の中には決して喜ばぬ。