Japanische Klassiker mit Furigana
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ふくおうじでん
福翁自伝
福沢 諭吉
Lesen Sie 福翁自伝 (ふくおうじでん) von 福沢 諭吉 (ふくざわゆきち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 209.912 Zeichen · 402 Bildschirme
支那の文明、望むべからず
しことなるが、是れからは藩主も平等の人間なりと一念こゝに発起して、この平等の主義からして物を貪るは男子の事に非ずと云う考えが浮かんだのだろうと思われる。その時には特に考えたこともない、説を付けたこともないが、私の心の変化は恐ろしい。何故に以前藩に対してあれほど卑劣な男が後に至ては折角呉れようと云う扶持方をも一酷に辞退したか、辞退しなくっても世間に笑う者もないのに、打て変た人物になって、この間まで丸で朝鮮人見たような奴が、恐ろしい権幕を以て呉れる物を刎返して、伯夷、叔斉のような高潔の士人に変化したとは、何と激変ではあるまいか。他人の話ではない、私が自分で自分を怪しむことであるが、畢竟封建制度の中央政府を倒してその倒るゝと共に個人の奴隷心を一掃したと云わなければならぬ。
支那の文明、望むべからず之を大きく論ずれば、彼の支那の事だ、支那の今日の有様を見るに、何としても満清政府をあの儘に存じて置て、支那人を文明開化に導くなんと云うことは、コリや真実無益な話だ。何は扨置き老大政府を根絶やしにして仕舞て、ソレから組立てたらば人心こゝに一変することもあろう。政府に如何なるエライ人物が出ようとも、百の李鴻章が出て来たって何にも出来はしない。