Japanische Klassiker mit Furigana
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ふくおうじでん
福翁自伝
福沢 諭吉
Lesen Sie 福翁自伝 (ふくおうじでん) von 福沢 諭吉 (ふくざわゆきち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 209.912 Zeichen · 402 Bildschirme
所が一年立ち二年立つ中に、その伯夷、叔斉殿が首陽山に蕨の乏しいのを感じたか、ソロ/\山の麓に下りて、賊地の方にノッソリ首を出すのみか、身体を丸出にして新政府に出身、海陸の脱走人も静岡行の伯夷、叔斉も、猫も杓子も政府の辺に群れ集て、以前の賊徒今の官員衆に謁見、是れは初めて御目に掛るとも云われまい、兼て御存じの日本臣民で御座ると云うような調子で、君子は既往を語らず、前言前行は唯戯れのみと、双方打解けて波風なく治まりの付たのは誠に目出度い、何も咎立てするにも及ばぬようだが、私には少し説がある。抑も王政維新の争が、政治主義の異同から起て、例えば勤王家は鎖国攘夷を主張し、佐幕家は開国改進を唱えて、遂に幕府の敗北と為り、その後に至て勤王家も大に悟りて開国主義に変じ、恰も佐幕家の宿論に投ずるが故に、之と共に爾後の方針を与にすると云えば至極尤もに聞ゆれども、当時の争に開鎖など云う主義の沙汰は少しもない。佐幕家の進退は一切万事、君臣の名分から割出して、徳川三百年の天下云々と争いながら、その天下が無くなったら争の点も無くなって平気の平左衛門とは可笑しい。ソレも理窟の分らぬ小輩ならば固より宜しいが、争論の発起人で頻りに忠義論を唱えて伯夷叔斉を気取り、又はその身躬から脱走して世の中を騒がした人達の気が知れない。