Japanische Klassiker mit Furigana
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ふくおうじでん
福翁自伝
福沢 諭吉
Lesen Sie 福翁自伝 (ふくおうじでん) von 福沢 諭吉 (ふくざわゆきち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 209.912 Zeichen · 402 Bildschirme
従兄が私に手紙を寄送して、母の病気に付き早々帰省致せと云う表向の手紙と、又別紙に、実は隠居から斯う/\云う次第、余儀なく手紙を出したが、決して母の身を案じるなと詳に事実を書いて呉れたから、私は之を見て実に腹が立った。何だ、鄙劣千万な、計略を運らして母の病気とまで偽を云わせる、ソンナ奴があるものか、モウ焼けだ、大議論をして遣ろうかと思たが、イヤ/\左様でない、今アノ家老と喧嘩をした所が、負けるに極って居る、戦わずして勝負は見えてる、一切喧嘩はしない、アンナ奴と喧嘩をするよりも自分の身の始末が大事だと思直して、夫れからシラバクレて胆を潰した風をして奥平の処に行て、扨中津から箇様申して参りました、母が俄に病気になりました、平生至極丈夫な方でしたが、実に分らぬものです、今頃は如何云う容体でしょうか、遠国に居て気になりますなんて、心配そうな顔してグチャ/\述立てると、奥平も大に驚いた顔色を作り、左様か、ソリャ気の毒な事じゃ、嘸心配であろう、兎に角に早く帰国するが宜かろう、併し母の病気全快の上は又再遊の出来るようにして遣るからと、慰さめるように云うのは、狂言が旨く行われたと心中得意になって居るに違いない。