Japanische Klassiker mit Furigana
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ふくおうじでん
福翁自伝
福沢 諭吉
Lesen Sie 福翁自伝 (ふくおうじでん) von 福沢 諭吉 (ふくざわゆきち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 209.912 Zeichen · 402 Bildschirme
手軽に話をすると、家老は逸見志摩と云う誠に正しい気の宜い人で、暫時のことならば拝借仰付けられても宜かろうと云うような曖昧な答をしたから、その笞を聞くや否やすぐにその次の元締役の奉行の処に行て、今御家老志摩殿に斯う云う話をした所が、貸して苦しくないと御聞済になったから、今日その御金を請取りたいと云うと、奉行は不審を抱き、ソレは何時の事だか知らぬがマダその筋から御沙汰にならぬと妙な顔色して居るから、仮令い御沙汰にならぬでもモウ事は済んで居ます、唯金をさえ渡して下されば宜しい、何も六かしい事はないと段々説た、所が家老衆が爾う云えば、御金のないことはない、余り不都合でもなかろうとその答も曖昧であったが、此方はモウ済んだ事にして仕舞て、その足で又その下役の元締小吟味、是れが真実その金庫の鍵を持て居る人であるその小吟味方の処へ行て、只今金を出して貰いたい、斯う/\云う次第で決してお前さんの落度になりはしない、正当な手順で、僅か三ヶ月経てば私の手にちゃんと金が出来るからすぐに返上すると云て、何の事はない、疾雷耳を掩うに遑あらず、役人と役人と評議相談のない間に、百五十両と云う大金を掠めて持て来たその時は、恰も手に竜宮の珠を握りたるが如くにして、且つその握た珠を竜宮へ返えそうなんと云う念は毛頭ない。