Classiques japonais avec furigana
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みなもとよりとも
源頼朝
吉川 英治
Lisez 源頼朝 (みなもとよりとも) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 306 118 caractères · 613 écrans
三
と、咎めた。
実平は、異様な気もちに襲われた。見も知らない小男から、こんな横柄に臨まれたのは初めてだった。けれど、不思議にも冷笑できない威圧をうけた。――兄の家臣。そう頭から云われた一言に、何か、抑えられてしまった気持なのである。
「申し遅れました」
実平は、思わず頭を下げ、改めて姓名を告げたが、その上で、さらに厳しく、
「して、貴方は」
と、問いつめた。
かりそめにも疑わしいふしがあったら免さぬぞという眼ざしが、こんどは明らかに、実平の眸から燃えていた。
「儂は亡き義朝が末子、幼名を牛若といい、兄頼朝とは平治の乱にわかれ、鞍馬に育ち、奥州の秀衡が許にて人となり、今、源九郎義経と名のる者。――時来って、兄上の旗挙げと聞き、夜を日についで馳せ下って来たのです。……常磐が腹の末の異母弟牛若と披露あれば、必ず兄上にも思い出して下さるであろう」
と、義経は、篤と相手の胸に落ちるよう、一語一語に、心を労って述べた。
「よく分りました」
実平は、前よりも低く頭を下げてから、しばらくお待ちを――と云い残して門のうちへかくれた。
ちょうどその時頼朝は、奥の間で夕餉の膳にむかっていた。