후리가나로 읽는 일본 고전
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さんごくし
三国志(三)
吉川 英治
吉川 英治의 三国志(三)(さんごくし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 312,452자 · 628화면
暗香疎影――ふたつの影もその中のものだし、董承の影と明暗の裡にたたずんでいるので――彼らはすこしも気がつかないらしい。
「……一幅の絵だ」
董承は口のうちで呟きながら、恍惚と遠くから見まもっていた。
水々しい春月が、男女の影に薄絹をかけていた。男はうしろ向きに――羞恥んでいるのか、うつ向いて爪を噛んでいる。
背中あわせに、女はそこらの梅を見ていた。そのうちに、女から振向いて、何か、男に云いかけたが、男はいよいよ肩をすぼめ、かすかに顔を横に振った。
「お嫌?」
女は、思いきったように、ひら――と寄ってのぞきこんだ。
その刹那、老人の体のなかにもあった若い血は、とたんに赫怒となって、
「不義者めッ」と、突如な大声が、董承の口を割ってでた。
男女はびっくりしてとびはなれた。もちろん董承のあたまにはもうそれを詩と見ていることなど許されない。――女性は後閣に住んでいる彼の秘妾であり、男はかれの病室に仕えていた慶童子とよぶ小さい奴僕だった。
「この小輩め。不、不埓者めが!」
董承は逃げる慶童の襟がみをつかんで、さらに大声で彼方へどなった。
「誰ぞ、杖を持ってこい、杖と縄を」