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ふたばていよだん

新編 思い出す人々

内田 魯庵

内田魯庵『新編 思い出す人々』。同一底本的分册已合并为一书。收入:二葉亭余談、淡島椿岳、鴎外博士の追憶、硯友社の勃興と道程、最後の大杉、斎藤緑雨、三十年前の島田沼南、美妙斎美妙、二葉亭四迷、二葉亭四迷の一生、二葉亭追録、明治の文学の開拓者、四十年前、露伴の出世咄。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,401 字 · 427 页

青空文庫

六 二葉亭の文章癖

こんな処にも空名虚誉を喜ばない二葉亭の面目が現れていた。

最一つ不思議な事は、この位に猫や犬を可愛がっていても、ツイぞ一度人から貰った事がない。「棄てられたり紛れたりして来たから拾って育ててやるので、犬や猫を飼うのは楽みよりは苦みである。わざわざ求めて飼うもんじゃ決してない、」といっていた。二葉亭の犬や猫に対するや人間の子を愛すると同じ心持であった。

六 二葉亭の文章癖

二葉亭は始終文章を気にしていた。文人が文章に気を揉むのは当然のようであるが、今日の偶像破壊時代の文人は過去の一切の文章型を無視して、同じ苦むにしてもこれまでの文章論や美辞法からは全く離れて自由であるべきはずである。極端にいえば、思想さえ思う存分に発現する事が出来るなら方式や修辞は革命家の立場からはドウでも宜かるべきはずである。二葉亭も一つの文章論としては随分思切った放胆な議論をしていたが、率ざ自分が筆を執る段となると仮名遣いから手爾於波、漢字の正訛、熟語の撰択、若い文人が好い加減に創作した出鱈目の造語の詮索から句読の末までを一々精究して際限なく気にしていた。

二葉亭時代の人は大抵国漢文の秩序的教育を受けたから、国漢文の課題文章の習練にはかなり苦まされて文学即文章の誤った考を吹込まれていた。