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ふたばていよだん

新編 思い出す人々

内田 魯庵

内田魯庵『新編 思い出す人々』。同一底本的分册已合并为一书。收入:二葉亭余談、淡島椿岳、鴎外博士の追憶、硯友社の勃興と道程、最後の大杉、斎藤緑雨、三十年前の島田沼南、美妙斎美妙、二葉亭四迷、二葉亭四迷の一生、二葉亭追録、明治の文学の開拓者、四十年前、露伴の出世咄。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,401 字 · 427 页

青空文庫

二 津の守の女の写真屋

それまで実は小説その他のいわゆる軟文学をただの一時の遊戯に過ぎないとばかり思っていたのだが、朧ろ気ながらも人生と交渉する厳粛な森厳な意味を文学に認めるようになったのはこの初対面に由て得た二葉亭の賜物であって、誰に会った時よりも二葉亭との初対面が最も深い印象を残した。

二 津の守の女の写真屋

たしか明治二十四年頃であった、二葉亭は四谷の津の守の女の写真屋の二階に下宿した事があった。写真屋というと気が利いているが、宿場外れの商人宿めいたガサガサした下等な家で、二葉亭の外にも下宿人があったらしく、写真屋が本業であった乎、下宿屋が本業であった乎、どちらとも解らない家であった。

秋の一夜偶然尋ねると、珍らしく微醺を帯びた上機嫌であって、どういう話のキッカケからであったか平生の話題とは全で見当違いの写真屋論をした。写真屋の資本の要らない話、資本も労力も余り要らない割合には楽に儲けられる話、技術が極めて簡単だから女にでも、少し器用なら容易に覚えられる話、写真屋も商売となると技術よりは客扱いが肝腎だから、女の方がかえって愛嬌があって客受けがイイという話、ここの写真屋の女主人というは後家さんだそうだが相応に儲かるという咄、そんな話を重ねた挙句が、「官吏も面白くないから、女の写真屋でも初めて後見をやろうかと思う、」