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にっき
日記
宮本 百合子
14 一九二八年(昭和三年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 58,758 字 · 118 页
十二月十日
自分、一遍家を見て来ようと云ったらY、怒り、いらぬこと云うもんじゃない、莫迦、という。引越し、散歩し二人でカルタをして、自分まけ、十一時すぎかえる。かえってトランクをあけたら、在るではないか。心重し、心重し。アントーシャに信用を失わせた点だけでも困ったことだ。自分憤りを感じた。Y、損をしまい、莫迦にされまい、なめられて腹が立つ、そんな性格の一面から、ケンカする。早く怒る。疑る。そのときの彼女の勢がひどくて、自分主張して、例えば、見て来る、黙ってろ! と云えなくなるところ、これが自分の欠点だ。
そのことを深く感じ困った。困った。――何としても困る。明日Yに話し、何と処置するか、なまじっか絹のスリップなんぞあるからこんなことになるのだ。一生覚えているとよい。在るほどキタナイ。比較の話だ。あに金持のみならんや!
十二月十日(月曜)
昨夜、すっかり水で体を拭いて、本当に早くねるつもりのところやっぱりなかなか眠れなかった。この毛布、いやにするするするから猶寝にくい。日本の小夜着のよい心持を思い出した。
一時、パルトニハのところへ行く。外套をおき、モストルグへ出かく。