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にっき

日記

宮本 百合子

14 一九二八年(昭和三年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 58,758 字 · 118 页

青空文庫

二月十日

二月十一日

二月十日(金曜)

暖く、曇り日。部屋の窓から見渡す景色。曇った空、煤けたコンクリートと煉瓦の建物の背中。襁褓と古びた赤い干しものが、鈍い天候の下で絵画的効果を有すると同じ、一種の美がここにもある。

雪がすっかり消え、昔勧コー場だったひろいガラス屋根が目の下に現れた。我々は始め温室かと思った。無住の場所だ。ガラスがこわれたまんまになって居る。左の一棟のガラスは殆ど皆ない。骸骨のような枠だけ見える。凄じい感じだし、このガラスの夥しい斜面に反射するモスクワの夏を想像した。

時々、柔かい雪降る。

〔欄外に〕

○大使館へ行って、沢山林町からのハガキを受取った。

○Y、大学聴講のことをNさんにたのむ。

○歴史博物館へ行った。シチェプキナさんに会うことが出来、ブブノワさんからの土産を渡し、やっと安心した。

二月十一日(土曜)

やや暖し。

稽古の間、自分手摺りから下を覗いた。

ラボーチャ・モスクワ〔『労働モスクワ』紙〕を買ったところ、自分にもこれなら分るところあり、大いにうれしかった。

○エフゲーニア・ミハイロブナの稽古。来週から又一日置きの稽古にすると云ったところ、Yが居ないとき、自分に「何故そうしたのか、どうかかくさず云って下さい。