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にっき
日記
宮本 百合子
14 一九二八年(昭和三年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 58,758 字 · 118 页
十月二十九日
十月三十日
十月二十九日(月曜)曇時々雨
ひろ岡さんのところへ鮭をかって行って、お茶づけの御馳走になる、美味。
○エイゼンシュテインがああやって田舎の百姓をつかったり、素人をつかう点の芸術的意味。これは案外に重大だ。例何故、モスクヴィンの生れた人間があんなに下らなかったか? 何故カチャロフの知事やメイエルホリドの元老はあの位のものか? 例モスクビンがよい、ム・ハ・トの舞台でモスクビンが、感情表現のために、細かに表情し、こまこま線を描く、舞台は明暗、空間、観衆との距離がある。そのままのこまこました線で白黒のフィルムの上に動きつつ固定して居ると、非常にうるさくてよくない。
○素人はまして mass として扱われるとき、所謂細かいところを全然知らぬ。プロースト〔自然に〕な線でクーと行く。これが印象をつよめる。
〔欄外に〕
もうこの頃は、午後四時前後に電燈がなくてはならぬ。
新鮮な空気が欲しい、欲しい。
十月三十日(火曜)曇
昨夜、頭の工合わるくてよく眠らず。大変早く目がさめ、Yはよく眠って居るし、床の上で『改造』をよむ。
平林たいの小説、少くとも作られたる小説よりはよし。