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にっき
日記
宮本 百合子
14 一九二八年(昭和三年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 58,758 字 · 118 页
三月二十六日
和田、アミノ、丹野、苅田、関、林町へ絵ハガキを書いた。
三月二十六日(月曜)
マールイ・テアトルで、スミルノワの引退興行があった。カチャロフ、モスクヴィン、スタニスラフスキー等出演するという。スタニスラフスキーの出るのは珍しいから、切符を買ってあった。ゆく。見物にも女優多し。出しものは、オストロフスキーの、「総ての賢者には充分の質朴単純さ」とか何とか云うゴーゴリの模倣的なもの。作は下らない。が下らないのを、これ等の老大家達がどのように演出するかが見ものなり。スミルノワ、まだ奇麗で、声もすみ、立派であった。スタニスラフスキーは出ず。カチャロフの主人公の青年、巧者すぎて却って感服せず。寧ろ、叔父を演った役者――有名な人だが忘れた――の方がよかった。やはり年よりは若いものをやっても円熟しすぎて居る。幕合に、サモロブナ引退式があって、いろいろの人――ダンチェンコも出てよんだり話したりした。サモロブナも挨拶したが、カッ采鳴り止まず。自分サモロブナが、この拍手も、こうやって見物を見渡すのも、もう此夜ぎりと思って感じる心持ちを感じ、淋しいような同情されるような印象のつよい心持がした。