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にっき
日記
宮本 百合子
14 一九二八年(昭和三年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 58,758 字 · 118 页
二月十二日
アットクロベンノ〔かくさず率直に〕という言葉知って居るでしょう」「ああ。今よんだばかりだから」自分笑って、理由を云った。あとで、かえり際、Yに向って、彼女又同じ質問をす、自分傍に居るのに。味のないギスギスした女なり。
○夜、上張りに着かえたところへ、ノックして、女の人が入って来た。秋田さんの部屋はどこかという。多分、名刺に自分の写真をつけて居る女の人らし(エスペラントを話す電信局に働いて居る女、紫っぽい帽子から、黒いベールを下げて居る。唇を赤くして居る。しわがれた声、秋田さんのことを「オン、ウームヌイ」〔彼はかしこい〕と云った。)
〔欄外に〕
Yの眼鏡、出来たが、かけると心持わるい由、ロシアでは、インク、メガネ、スイトリ紙、写真の道具、化粧品までわるし。
○女の郵便配達夫八時間で七十五円、Y、今日は厭露病になった。ベコ! 少しきいて! と書いて居る上張りの袖を引っぱった。よしよしきいて上げましょう。
土曜日の鐘が鳴る。八時半
二月十二日(日曜)暖
よい日向なり。Yの風邪気、幸何ごともなし。床の中のフスタワイチェ、フスタワイチェ〔起きなさい、起きなさい〕繰返して居るのを、自分本気で云って居るかと思って目をさました。