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にっき

日記

宮本 百合子

07 一九二一年(大正十年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 61,953 字 · 124 页

青空文庫

三月一日

三月二日

つまらないことだ。寧ろ恐ろしい。

○野上彌生子氏に対する公開状を『婦公』にたのまれる。

○ゼエレン・キェルケゴールを読む。

彼が父からさほどの陰鬱をゆずられながら精神の弾性が其に耐え、其を活かせたと云う文句がある。

国男を思う。

素質の恐ろしい力を痛感せずには居られない。

三月一日(火曜)

キェルケゴールの中から「私には父の死が、父の私に対する愛のための最後の犠牲だと云う心持がする云々」此は、私が、Aに対して思うことだ。

が親に対しては思わない。Aは、私をデベロープするために生れた。幾十年もの共生、若し彼が先に死ぬようになことがあれば、其も、私の内容に何か新しい生命を吹込せるためになされたことなのだろうと、今から思う。どう云う内容が来るか? 此が「偶感一語」に表われたのだ。

近頃自分は大抵、九時頃に起きる。平均八時間の睡眠、これで体は軽く頭の工合はよい。十時間睡り、じありんをのみ、不調をとなえて居た自分は如何したのだ? 懈怠のみだったと恥じる。

三月二日(水曜)

○自分が制作に際して、絶望的になり自信を失い、煩悶する場合、其が如何云う原因によるかと云うことは研究反省に価する。