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にっき
日記
宮本 百合子
07 一九二一年(大正十年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 61,953 字 · 124 页
八月二十七日
八月二十八日
不思議な面白い光景。
下を、飴屋カンカラカンカンカンカン、カンカラカンカンカンと、鉦を叩いて行くのを聞いて、風と、日光と、散れて大きく響く電車の音とで、妙に凄じく感じた。大観音の祭日の、澄んだ月夜と、太鼓鉦の音の激しい緊張。
八月二十七日(土曜)
「文学史」より。ロシアの Folk novel の発達の初期にあって、作者が、Poor class に対するアイディアライズ、センティメンタリズムで、その真の姿を現し得なかったことを、明に、教訓深く示して居る。そのロマンティシズムを打破するために、極端なリアリストが現れ、その二つを統合した産物としてゴーキーが現れたと云って居る。
此は、自分でもよく分ることだ。どんな気持でアイディアライズするか。自分は「貧しき人々の群」の中で其を経験した。
現在、労働文学と云われて居るものは、それではないだろうか。第一、斯様な問題に触れて居るのは、多く労働者の左袒者である。其ために、彼等の無智、彼等のたいだ、彼等の原始的生活状態にまで陶酔的価値をつけ、社会主義者の廉価な亢奮を示すのではないだろうか。
八月二十八日(日曜)
ロシア人の話しずきな傾向――特に知識階級の者の中にある此傾向は、ロシアの思想界がセンサーによって圧せられ、印刷物の上で自由な表現或は闘論が出来なかったからではないだろ