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にっき
日記
宮本 百合子
07 一九二一年(大正十年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 61,953 字 · 124 页
十二月二十一日
昼頃起きる。可成暖くなって居るのだが起きるときに足がだるくおっくうに感じた。
風のないおだやかな日、もう暮の二十一日だから、外へ出て見たら、さぞ町は色めき立って居るのだろう。相変らず不景気だと云う。我々のような生活をして居るものは、景気のよい時迷惑する代り、不景気と云って自分等の気分まで支配されることはない。
野上氏が『改造』の外、『中公』に書かれた「或女の話」の広告を見、期待する。綾鼓は、あまりよい作と思わなかった。如何にもまとまりあの人らしい主題だが、新鮮でなく、綾の鼓にうっすりと塵がかかったような心持がした。読んだのが工合の悪かったせいか。
人として学問はなくても、小寺さんは人生を異った方面から見て来たのに、何故よい作を書かれないのだろう。あまり気がなくなったのか? 昨夜眠り眠り飯田さんのことを考え、彼女の心が自分に泣きよるように感じられた。
皆、各自の家に入り、皆各自の笑顔を持って暮しては居るが何と云う種々な生活、苦があることだろう。
女性が一度彼女等の自由な心でその苦を訴えたら、少くとも日本はその怨言で埋まってしまうだろう。只それを皆、忍従して居るのだ。