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にっき
日記
宮本 百合子
07 一九二一年(大正十年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 61,953 字 · 124 页
十月二十八日
十月二十九日
十月二十八日(金曜)夜雨
村井知至氏の「無絃琴」をよみ同感。その故に今夜、青年会館にある「道」の会に行く。
彼の人の話は、自分達のうちにある宗教観をよく表して居て面白かったが、石川半山と云うジンゴイストじみた男の話はいやになった。
あんな男の話まで聞かせて全体のアトモスフィアをこわすのは、一種の政略の失敗に帰したものか。ああ云う公開のとき、もっと、ぐっと人を選ぶことは出来ないものか。
明朝、Aは高尾の遠足と云うので亢奮し、よろこばしそうに見えた。が、夜半、激しい雨の音をきく。
十月二十九日(土曜)晴―時々曇 発信不足
今朝若し晴天ならAは出かけたのだが、五時頃降ったため学習院の遠足はおやめ。三越に買物に出かけようと床に来て云われたが断った。昼近くなり机に向って居ても、どうも落付かない。行くことに定め、念のため虎やから明治に電話をかけて置いた。そして一時までと云うので出かけ、早すぎたので丸善によってブラブラ駿河台のだらだら坂をのぼって行くと、彼方からAが笑い乍ら来た。電話は通じなかったのだそうだ。丸善で、ペルシャン・セルフトートを買い、帰る電車の窓から私を見つけたのだと云う。