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にっき
日記
宮本 百合子
14 一九二八年(昭和三年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 58,758 字 · 118 页
七月四日
天気のよい日、ベン当もちで歩いて見たい気がした。かえりに、別なアヴェニューを発見する。デーツコエ・セローは実に野と樹木の美しいところだ。午睡をYする。自分一人でアレキサンドリスキーを歩く。エカテリンスキーは水の美の多い公園、アレキサンドリスキーは木の公園、エカテリンスキーのように人工がない。野放しで、奥など一寸こわいようで、少しヴェートウヴェン式なり。
〔欄外に〕
パンションに、いやに通ぶった女、三十すぎて二十七八に見せて居る女あり。文学の話をやる。フランスでは Dumas とモーパッサン止りだ。「ツェメント」の悪口を云う。重ねて、早口に眼をチョロチョロ動して云う。品のわるい女なり。
七月四日(水曜)晴
朝食をすましてからステーションまで歩いて、市へ出た。
パッサージで敷布、手拭を買う。本屋、髪の手入れ(Y)ホテルで食事。ヨー子さんのところによって靴、字引その他をもってピカデリーにゆき、「危険なる年齢」を見る。女主人公をした女優、なかなか厚みのある演出――苦しさで、心の、口がふさがれ□い表情、やっと歩く心持、自分に皆経験のある心持故切なく変な心持になった。