轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

にっき

日記

宮本 百合子

07 一九二一年(大正十年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 61,953 字 · 124 页

青空文庫

其処の、此方から入ると入口に、清水がある。大きなけやきや藤のからみついた古木のとりかこんだ一隅の地面から清水が湧き出して来る。其を広く石でかこった場所なのである。

夕方から散歩がてら荒木山からぐるりと廻って出かける。丁度落日が、強い赤い斜光を投げて居た時なので、黒い、木立や其処にチラホラ見える白い着物、日にやけた者の赧い顔がコブコブの樹とともに、支那風景のように見えた。

次郎丸へ行く途中、荒木山の下を流れて居る川が、二又になる処に、薄などにまじって傾き苔のついた石碑が、まめつしてある。又村の入口の小高い処にも、小さい地蔵様がある。昔何か出たと云ったのだそうだ。日本の古い時代がまざまざと浮んで来ると同時に、そのような気分が桑野辺と実に違うことを感じる。

彼辺では、此方ほど天狗や狸、ばけものの話は少ない。一つは、山がかなり遠方にあるのと、新開なのと、空気が乾いて居て、周囲がからりとして居る故ではないか。

此処で、老人から聞いた話の中、実際あったと云うのは(自分が)荒木山のはしの松の木に居る天狗の話だ。

(一)夜、丁度其下にあった田圃を見廻りに行くと、天狗は、人がそばに居るのはうるさいので、ヒューヒューと身にはあたらない処へ石が落ちて来た。