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にっき
日記
宮本 百合子
07 一九二一年(大正十年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 61,953 字 · 124 页
十月六日
情慾が制せられ、忘られて愛に高翔した時、男性は、明るく、強く、朗らかになるのではないか。女性の場合では肉感が精神を刺戟し、それを緊張させ放射させる情慾的発情に会わないと、弱く、泣きたく、センチメンタル不幸になるのではないだろうか。よくは分らないが、そうではあるまいかと思う。
今日はひどくぐっすりと眠り、十時頃目を覚したので、図書館へ行くのはやめにし、家に居る。
久し振りで天気になり、心持がよい。すがすがしく、木の間を散歩したいような心持になる。
十月六日(木曜)
又雨。此二三日、毎朝、早いうちに、心持のわるい夢を見る。今朝も妙に気味の悪い水に関する夢を見た。図書館に行く。
三秀社の島信次氏の書いた「戦時米国概観」から、多くのことを得。The Prisoner at the bar と云うのを読み始め、有益らしい。
かえってから、夕食後、火鉢を買いに出かけた。昨日野上彌生子さんから、「我に叛く」の読後感を送ってくれられた。返事をあげたく思う。が、どうも一日緊張した仕事をし、相当に疲れて来ると、気を張った仕事――手紙でも――したくなくなる。Aが、自分の仕事に落付けないわけだと思う。