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にっき
日記
宮本 百合子
07 一九二一年(大正十年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 61,953 字 · 124 页
十一月九日
自分の仕事が真個に自働的に出来るときは、自分の心にあるプログラムを遮って、外からの注文が如何にいやに思われるか、あまり心が充実せず、いやだとは云い乍ら、たのまれることが動機となるときとは、真実味に於て実に違う。
国男さんが午後来、夕飯を共にすませて、後、柳町まで籐椅子を見に行く。白山下だと云うので行くうちに、到頭其処まで引ずられてしまったのだ。
紅雀の子は、毛虫位のよし、藁を入れてやる。
十一月九日(水曜)
朝起きてから、『婦人公論』の小論文を書き終り、二時半までに山下でAを待ち合わせ、帝展に行った。相変らず。今年は、前に批評をよんだ故もないとは云えないが、作品をそれ自身として愛し、心をもって隅々まで描いた作品が少く、見せるため、パッスするためで、屏風でも一つとしてこれにまとまった味を持って居るのがない。
中で、今記憶にあるのは、清姫、(玉葉)鯉。カンガルー。
洋画では童女像、涼しきひま、童女像は、涼しきひまとは反対に、どちらかと云えばクラシカルな味がある。隅から隅まで心をひそめ、裡からにじみ出すように、心をこめて描かれて居る。涼しきひまはその生動して居る点、外光の巧さで、たしかに他を圧して居る。