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しのげんり

詩の原理

萩原 朔太郎

「詩の原理」第一書房 、1928(昭和3)年12月15日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 153,641 字 · 305 页

青空文庫

即ち僕は、一旦絶望した『詩の原理』の問題を、改めてまた執念深く考え出し、あえて大胆にもその著述にかかったのだ。実にこうした思索の点では、僕は自分の柄にもなく、地獄の悪魔の如き執念深さと、不撓不屈の精神を有している。倒れても倒れても、僕は起きあがって戦ってくる人間だ。だがそうでもなかったら、だれにも「真理」の考察はできないだろう。真理は芸術のようなものでなく、不断の熱心な研究と、不撓不屈の勉強によってのみ、始めて認識され得るものであるから。

こうして長い経過の結果、今度始めて、漸く僕の多年宿願した著述『詩の原理』が、この九月にアルスから出版されることになった。この書物こそは、僕の十年来の思索に於ける収穫で詩論としての総勘定と言うべきものだ。もとより非力にして無能、才分まずしき僕の著作である故に、赤面なしに大言することはできないけれども、僕としては心血を注いだもので、広く一般の人に読書してもらいたい。近頃、僕は久しい間沈黙して、詩にも論説にも、何等自信ある作品を出さなかったので、今度僕の著述『詩の原理』こそ、詩集『青猫』以来、始めて僕の世に問おうとする著述である。