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しのげんり

詩の原理

萩原 朔太郎

「詩の原理」第一書房 、1928(昭和3)年12月15日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 153,641 字 · 305 页

青空文庫

3

が求めるものは、より燃焼的で温熱感に富んでるところの、音楽の範疇美に所属している。然るに「生活のための芸術」は、始めから主観主義の立場に立って人生を考えるものである故に、彼等の求めるところが、美術の純美になくして音楽の陶酔にあることは、全く予定されたる当然の帰結である。そしてこのことは、同様に他の一方の者についても考えられる。されば「生活のための芸術」と言い「芸術のための芸術」と言うのも、所詮は主観派と客観派との、美に対する趣味の相違にすぎないので、本質に於て考えれば、意外に全く同じ芸術主義者の一族であることが解るであろう。

3

上節述べたところによって、吾人は「生活のための芸術」と「芸術のための芸術」とを明解した。芸術上に於て言われるこの対語は、以上述べたことによってその本質を尽している。決してこれより他には、どんな別の解釈も有り得ないのだ。然るに日本の文壇では、不思議に昔から伝統して、あらゆる言語が履きかえたでたらめの意味で通っている。例えば芸術至上主義という語の如きも、日本では全く正体の見ちがった滑稽の意味に解されてるが、同様にこの「生活のための芸術」