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しのげんり

詩の原理

萩原 朔太郎

「詩の原理」第一書房 、1928(昭和3)年12月15日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 153,641 字 · 305 页

青空文庫

第三章 描写と情象

さらに進んで、徹底的に考を進めて行こう。

* 最近の世界詩壇は著るしく散文的になり、唯物論的になり、機械観的になり、科学的にさえも傾向している。これ表面には、詩の散文的没落を意味する如く思われるが、実には何の心配もないのである。なぜならこうしたものは、すべて詩の題材に属していて、詩の本質的精神に関係していないからだ。換言すれば、それらの唯物界や機械界やは、詩人によって新しく発見された詩美であって、趣味としての選択に属している。然るに趣味(即ち芸術の題材)は、詩の本質的精神とは関係なく、時代によって常に流動変化するものである。即ちプロゼックなものは流行であって、本質に於けるものは不易である故、詩は永久にその精神を没落しない。芭蕉はこの真理を言明するため、有名な「不易流行」の標語を作った。詩人は不易流行でなければいけない。(ついでながら言っておくが、近頃我が文壇で言われるマルクス的文学論が、芸術に於ける流行性と不易性とを、認識の蒙昧から錯覚している。芸術の不易性は個人主義で、流行だけが社会主義になるのである。)

第三章 描写と情象

人間の発想の様式は、原則として三種しかない。