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しのげんり

詩の原理

萩原 朔太郎

「詩の原理」第一書房 、1928(昭和3)年12月15日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 153,641 字 · 305 页

青空文庫

第十一章 芸術に於ける詩の概観

この中心点こそ即ち文壇の所謂「詩」で、吾人の抒情詩や叙事詩を指すのだ。故に詩という言語を中心的に考えれば、真に詩というべきは吾人の所謂詩(叙事詩や抒情詩)であって、他のすべての文学や思想やは、単に詩に類似するもの、詩的なものと言うにすぎないのだ。次章はさらに進んで、文学及び芸術に現われた「詩的のもの」を考えよう。

「無道徳」と「反道徳」とを区別せよ。無道徳というのは、全然倫理的観念の外におり、善悪の何れにも没交渉なものを言う。これに対して反道徳は、愛他主義と個人主義とに於ける如く、同じ一つの倫理線の上で、反対に向き合ってるものを言う。故に反道徳と道徳(通俗的道義観念)とは、同一線上で絶えず衝突するけれども、無道徳は別の並行線に属しており、全然倫理的問題とは没交渉で、どこにも交切する機縁がない。

第十一章 芸術に於ける詩の概観

芸術以外のものに於ける、詩的精神の概観は既に述べた。次に吾人は、特に芸術について考えよう。芸術の世界に於て、どこに「詩的なもの」があるだろうか? だが、最初に言っておくのは、この質問が芸術自体の部門に属して、他との関係に属してないということである。