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しのげんり

詩の原理

萩原 朔太郎

「詩の原理」第一書房 、1928(昭和3)年12月15日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 153,641 字 · 305 页

青空文庫

――読者のために――

西暦一九三八年五月

著者

――読者のために――

この書物は断片の集編でなく、始めから体系を持って組織的に論述したものである。故に読者に願うところは、順次に第一頁から最後まで、章を追って読んでもらいたいのである。中途から拾い読みをされたのでは、完全に著者を理解することができないだろう。

各章の終に附した細字の註は、本文の註釈と言うよりは、むしろ本文において意を尽さなかった点を、さらに増補して書いたのである。故に細字の分も注意して読んでいただきたい。

『詩の原理』について、自分が始めて考え出したのは、前の書物『新しき欲情』が出版された以前であって、当時既に主題の一部を書き出していた。したがってこの書の思想の一部分は、前の書物『新しき欲情』の中にも散在している。

この書は始め八百枚ほどに書いた稿を、三度書き換えて後に五百枚に縮小した。なるべく論理を簡潔にし、蛇足の説明を除こうとしたからである。特に自由詩に関する議論は、それだけで既に三百枚の原稿紙になってる稿本『自由詩の原理』を、僅かこの書の一二章に縮小し、大略の要旨だけを概説した。したがって或る種の読者には、多少難解と思われる懸念もあるが、十分注意して精読すれば、決して解らないと言うところはないと思う。