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しのげんり

詩の原理

萩原 朔太郎

「詩の原理」第一書房 、1928(昭和3)年12月15日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 153,641 字 · 305 页

青空文庫

第八章 感情の意味と知性の意味

(でなければどんな小説や戯曲も有り得ない。)故に彼等の認識態度は、常に純粋に客観的で、主観の情意から独立している。真に主観的の態度によって、世界を感情の眼で見ているものは、あらゆる文学者の中で、ただ独り詩人あるのみである。詩人だけが、言語の正しき意味に於て、純に主観主義者と云うべきである。

第八章 感情の意味と知性の意味

自然主義の写実論は、世界をその存在のままに於て、少しも主観に於ける選択をせず、物理的レンズの忠実さで書けと言った。勿論彼等の芸術論は、当時の浪漫派の文学――それは偏狭な道徳観と審美観とで、あまり多くの選択をしすぎた、――に対する反動として言われたもので、その限りに於ての啓蒙的意義を有する。しかしこうした写実論から、その啓蒙的意義を除いて考えたら、世にこれほどセンスの欠けた思想は無かろう。なぜなら主観に於ける選択なくして、いかなる認識も有り得ないから。畢竟、認識するということは、この混沌無秩序な宇宙について、主観の趣味や気質から選択しつつ、意味を創造するということに外ならない。

故に人間によって見られた世界は、それ自ら「意味としての存在」