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しのげんり
詩の原理
萩原 朔太郎
「詩の原理」第一書房 、1928(昭和3)年12月15日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 153,641 字 · 305 页
第十三章 詩人と芸術家
――日本のはそうでなく、根本的に詩そのもの、ヒューマニチイそのものを紛失させて、俗物的に納ったり、野狐禅的に悟り顔をすることで、自ら得意としているのだからたまらない、畢竟彼等は、自然主義の精神を履きちがえているのである。世に逆説の精神を知らずして、逆説を学ぶほど危険はない。この意味から日本の文壇は、自然主義によって堕落させられたと言い得るだろう。
第十三章 詩人と芸術家
詩人は芸術家であるか? と言う質問は、ヴァイオリンは楽器であるかという質問に同じく、馬鹿馬鹿しくとぼけて聞える。だがこの質問は、いつでも我々詩人にとって、真面目に、本気に、提出される疑問である。なぜなら我々は、実際に芸術家でないところの、多くの本質的な詩人を知っているからだ。彼等は芸術的な表現を持っていない。然も気質的には、どんな詩人にも劣らぬような、情熱の高いイデヤをもち、不断のロマンチックな夢にあこがれ、常に純一な主観を高調している。例えば耶蘇やマホメットのような宗教家、コロンブスやマルコ・ポーロのような旅行家、ソクラテスやブルノーのような情熱哲学者、孔子や老子のような人間思想家、吉田松陰や雲井龍雄のような志士革命家を指すのである。