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あかくら

中谷宇吉郎集 第一巻

中谷 宇吉郎

中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第一巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:赤倉、英国日食班の印象、寒月の「首縊りの力学」その他、球皮事件、「光線の圧力」の話、御殿の生活、雑魚図譜、雑記、霜柱と白粉の話、十二花の雪、スポーツの科学、先生を囲る話、「先生を囲る話」について、続先生を囲る話、寅彦夏話、冬彦夜話、文化史上の寺田寅彦先生、雪の化石1、雪の話、リチャードソン。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 107,056 字 · 223 页

青空文庫

スケートの鋭いエッヂに体重を載せた瞬間に、氷の面に恐ろしい圧が極めて細い線上にかかるために、氷点が降下してエッヂの下には水の薄膜が出来、それが潤滑油の作用をするためによく滑るというのがその物理的説明として通っているようである。勿論このような現象も一つの理由でありあるいは重な理由であるかも知れないが、どうもそればかりではないのではないかという感じがふと頭に浮んだのである。あの薄緑色に澄んだ油氷とこのあだ白い人工の氷とを復氷の現象という一つの言葉で一緒に片付けてしまうことは、何だか少し無理があるような気がしたのである。それでリンクの真ん中で美事なスパイラルを描いている選手らしい人のスプールを覗いてみると、流石にエッヂの切れ味は立派ではあるが、氷は無残にもバリバリとはじけ切れているのであって、諏訪の油氷の上に描かれていた美しい線条とは似もつかぬものであった。

このリンクの人工氷と湖の氷とのスケーターの脚に及ぼす感触の差の原因を物理学的に一通り説明するという一問題だけでも、一人の物理学者の少くも数年の仕事であろうと思われる。あるいは少し誇張していえば、生涯の仕事とならぬとも限らないのである。