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あかくら
中谷宇吉郎集 第一巻
中谷 宇吉郎
中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第一巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:赤倉、英国日食班の印象、寒月の「首縊りの力学」その他、球皮事件、「光線の圧力」の話、御殿の生活、雑魚図譜、雑記、霜柱と白粉の話、十二花の雪、スポーツの科学、先生を囲る話、「先生を囲る話」について、続先生を囲る話、寅彦夏話、冬彦夜話、文化史上の寺田寅彦先生、雪の化石1、雪の話、リチャードソン。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 107,056 字 · 223 页
二五 ある探偵事件
これは少しくだらぬことになりそうだから、今度からは御免を蒙った方が利口らしい。
どうも心なしか、露西亜語の方はその後はあまり吹聴されなくなったようだった。
二五 ある探偵事件
ある晩のこと、「僕は今日一つ探偵事件を解決したよ」と先生は上機嫌で話されたことがあった。それというのは、その日先生の御宅へ妙な私製葉書が舞い込んだのである。表にはちゃんと宛名が間違いなく書かれているのに、裏は真白なのであった。どうも悪戯にしてもあまり変なので、こういう場合先生は、いつか小宮さんがいわれたように、綜ての可能性を考えて見られるのが得意でもあり、また好きでもあった。宛名の字の書き振りから見ると、どうもこの葉書は沢山同様な葉書を書いたものの一枚らしいという気がしたので、そうするとこれは印刷の葉書で、何かの間違いで一枚だけ刷り落ちたものかも知れないということに気が付かれたそうであった。それならばこの葉書の上に重っていたものが印刷された時の活字の圧力がこの葉書の上に残っているはずだと、色々の角度で光線を反射して見られると、どうも字の型らしい痕がある。さてこれをどうしたら読むことが出来るかと散々考えられた末、鉛筆の芯を細かい粉に削ってその葉書の上に散らし、それを指先でそっと撫で付けてみたら、字がありありと出てきたという話なのである