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あかくら

中谷宇吉郎集 第一巻

中谷 宇吉郎

中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第一巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:赤倉、英国日食班の印象、寒月の「首縊りの力学」その他、球皮事件、「光線の圧力」の話、御殿の生活、雑魚図譜、雑記、霜柱と白粉の話、十二花の雪、スポーツの科学、先生を囲る話、「先生を囲る話」について、続先生を囲る話、寅彦夏話、冬彦夜話、文化史上の寺田寅彦先生、雪の化石1、雪の話、リチャードソン。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 107,056 字 · 223 页

青空文庫

三三 油絵の話

古ぼけた器械ばかり持ち出して、変な実験をやって途方もない理論をそれにくっつけるばかりが僕の本当の希望ではなかったのだが。今理研におられる先生方が大学で実験をしておられた頃は、電気なんかの新しい流行の実験をすると、直ぐ蓄電池のパワーが足りなくなるし、器械を買って貰うのも大変だったし、遠慮ばかりしている中に、到頭物理の方まで、吉村冬彦になってしまったんだよ。

三三 油絵の話

あの頃先生の御弟子達の中で油絵を始めるのが流行ったことがあった。ことの起りは今理研にいるS君が、先年油絵を始めたいと先生に話したら、それじゃ僕が手ほどきをしてやろうということになって、S君を引っ張って神田の文房堂へつれて行って、一々説明をしながら必要なものを一通り揃えて下さったのである。そして帰りに風月へ行って珈琲の御馳走まであったというので、皆を羨しがらせたものであった。

ある晩先生の応接間へ伺ったら、S君が油絵を持ってきていた。それを椅子の上に立てかけて、先生が一々丁寧に批評をしておられる。色の使い方、構図の取り方から、細かい技巧の点まで実に懇切を極めた説明があって、画の心得の話になる。