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あかくら
中谷宇吉郎集 第一巻
中谷 宇吉郎
中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第一巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:赤倉、英国日食班の印象、寒月の「首縊りの力学」その他、球皮事件、「光線の圧力」の話、御殿の生活、雑魚図譜、雑記、霜柱と白粉の話、十二花の雪、スポーツの科学、先生を囲る話、「先生を囲る話」について、続先生を囲る話、寅彦夏話、冬彦夜話、文化史上の寺田寅彦先生、雪の化石1、雪の話、リチャードソン。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 107,056 字 · 223 页
霜柱と白粉の話
寺田寅彦先生門下の中に、M君という私の友人がある。M君の家は関西でも有名な旧家で、化粧品の製造では日本でも有数な家である。私とは高等学校時代からの同窓で、一緒に大学で物理学を修めた因縁があるので、霜柱と白粉という妙な題目の話が生れたわけなのである。
大学を卒業する間近になって、M君は卒業後二、三年大学で研究生活をして、それから家へ帰って化粧品の製造と研究とに入りたいという希望をもち出したのである。ところで大学院に入るにしても、白粉の研究に直ぐ間に合うような知識を授けてくれる先生などがどこにもある理由もなく、折角のM君の大望も指導教授の点でまず困ってしまったのであった。それで色々考えた揚句、結局寺田先生の所へ持ち込むより外に方法がないということになった。
ある土曜の晩、例の曙町の応接間へ乗り込んで、愈々この御願いを切り出すことになったのであるが、流石の先生もこの話には少々面喰らわれたようであった。「どうも白粉の研究までは流石に僕も考えたことがないのでね」と、いつものように顔一杯皺だらけにして苦笑された。しかし頼む方は本気なので、先生もそれでは何か考えてみようということになって、後は色々な話になったのであった。