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あかくら

中谷宇吉郎集 第一巻

中谷 宇吉郎

中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第一巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:赤倉、英国日食班の印象、寒月の「首縊りの力学」その他、球皮事件、「光線の圧力」の話、御殿の生活、雑魚図譜、雑記、霜柱と白粉の話、十二花の雪、スポーツの科学、先生を囲る話、「先生を囲る話」について、続先生を囲る話、寅彦夏話、冬彦夜話、文化史上の寺田寅彦先生、雪の化石1、雪の話、リチャードソン。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 107,056 字 · 223 页

青空文庫

三〇 落第

蓄音機なんか特に著しいな。ちょっとした事で良いのだが、一週間に一つずつでも、どんなつまらぬ事でも気に留めて改良して行く気になれば決してあんなものにはならぬはずだ。金がなくて科学的の研究は出来ませんなどといっているが、決して金がないのじゃない。考え方がないのだ。考えて生活するという余裕がまだ日本人にはないのだな。実際科学的にやるというと、直ぐコンクリートの建物を建てて、実験室を作ってという風に考えるのだから、これは一つは吾々物理学者の責任なんだな。科学的にやるという意味を分らすことはまず今の所では到底出来んな。印刷屋でもね、毎日一つずつ活字の型を改良して行っても、すぐ立派なものになってしまうがな。そして結局その方が勝つものだがね。もっともこれは実際はなかなか難しいことなんだ。

三〇 落第

少し話が内輪話のようになるが、ある晩先生がひどく懐古的な話をされたので、私もつい高等学校の入学試験に落第して、一年家で商売の手伝いをしたことがあるという話をした。そしたら先生が、「それはよいことをした。そういう経験は世の中を知る上において滅多にない良い経験だ。一年位大学を遅く出るということは一生のことを考えて見るとちっとも損にはならない」