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あかくら

中谷宇吉郎集 第一巻

中谷 宇吉郎

中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第一巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:赤倉、英国日食班の印象、寒月の「首縊りの力学」その他、球皮事件、「光線の圧力」の話、御殿の生活、雑魚図譜、雑記、霜柱と白粉の話、十二花の雪、スポーツの科学、先生を囲る話、「先生を囲る話」について、続先生を囲る話、寅彦夏話、冬彦夜話、文化史上の寺田寅彦先生、雪の化石1、雪の話、リチャードソン。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 107,056 字 · 223 页

青空文庫

その親類の家というのが天金の裏でね、時々天ぷらをとって御馳走をしてくれたことがあったっけ。

それからそこはどうもやかましいので、またその親類のおやじに頼んだら、谷中の御寺を探してくれてね。何でも古い汚い御寺だったよ。本堂の裏が寄宿舎のようになっていて、美術学校の生徒などに間貸しをしていたものだった。僕は仏壇の直ぐ横で、随分暗い不衛生な所だったよ。何であんな所をわざわざ探してくれたのか、大学の前には立派な下宿屋が沢山あったのにと、今思ってみると、癪に障る位だが、あの頃は僕は、何でもいわれるままにきいているべきものと思っていた。毎日々々精進料理ばかりで我慢していたものだった。何でも東京は悪友が多いからとでもいうので、わざわざあんな所を選んだものだろうと思う。

美術学校の連中は、本箱に本なんか一冊もなくて、その中に鍋やら丼やらを放り込んで自炊をしていた。日曜の朝なんか遊びに行くと、よく枕の上に頤をのせて床の中で新聞を読んだりしていたものだった。あの連中の生活ときたら実際羨しい位呑気なものだった。

その寺の坊主といったら、実に変な坊主で、ある晩遅く、いろりの横で何やらこそこそやっているので、何思わず行ってみたら、暗いランプの下で五十銭銀貨を山のように積んで勘定をしているんだ。