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あかくら

中谷宇吉郎集 第一巻

中谷 宇吉郎

中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第一巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:赤倉、英国日食班の印象、寒月の「首縊りの力学」その他、球皮事件、「光線の圧力」の話、御殿の生活、雑魚図譜、雑記、霜柱と白粉の話、十二花の雪、スポーツの科学、先生を囲る話、「先生を囲る話」について、続先生を囲る話、寅彦夏話、冬彦夜話、文化史上の寺田寅彦先生、雪の化石1、雪の話、リチャードソン。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 107,056 字 · 223 页

青空文庫

となって、先生の亡くなられるまで続けられていた。この研究を思い立たれた動機というのは、ある時先生が、中等程度の物理の教科書を見られたら、「我国には古来墨流しという遊びがあるが、之は要するに表面張力の問題である」と書かれていたのに端を発したのだそうである。ある時理研へ伺った時、この話が出た。

どうも中等程度の教科書というものは、実にむつかしいものだと思う。頁数が限られているのだから、要するに表面張力の問題として片付けておくより仕方がないのかも知れないが、これを下手に教えると、物理を教えることにならずに、物理なんか勉強する必要がないと教え込むことになってしまう。それで僕は一つ大いに墨流しの研究をやって、こういう問題はなかなか要するにで片付けられるものじゃないということを天下に知らすつもりなんだ。

と大いに気焔を揚げておられた。そしてこの墨汁の研究には膠質学の知識が大いに要るのだといいながら、先生はフロインドリッヒの膠質学の上下二巻千五百頁もある読みづらい本をこくめいに読んでおられた。晩年の先生が、まるで初めて大学へはいった学生のように、むきになって新しい部門の勉強を始めておられたのには驚いた。