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あかくら
中谷宇吉郎集 第一巻
中谷 宇吉郎
中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第一巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:赤倉、英国日食班の印象、寒月の「首縊りの力学」その他、球皮事件、「光線の圧力」の話、御殿の生活、雑魚図譜、雑記、霜柱と白粉の話、十二花の雪、スポーツの科学、先生を囲る話、「先生を囲る話」について、続先生を囲る話、寅彦夏話、冬彦夜話、文化史上の寺田寅彦先生、雪の化石1、雪の話、リチャードソン。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 107,056 字 · 223 页
それを一つ一つとりあげて独りで読み耽りながら、順々に私の方へ廻して下さった。そして色々漱石先生の追憶談を始められたのであった。こんなことはかなり珍しいことなのである。
高等学校時代に貰った手紙は、僕はこんなことには案外恬淡だったもので、家の手紙と一緒にしておいたものだ。ところが父が急に死んで、手紙を皆燃してしまったことがあって、その時一緒にみんな燃してしまった。今でも惜しいことをしたと思っている。『猫』を書かれる前の先生は、まだちっとも世間的には知られていなくて、弟子といってもまあ僕一人位だったようなものだった。『猫』が出て、小宮豊隆君がきて、確か小宮君が三重吉をつれてきたんだったかなあ、何にしても初めは、先生も随分切りつめた淋しい生活をしておられたもので、それだけにその時代の記念になるような手紙を皆燃してしまったのは随分申訳ないことをしたものさ。
というような話をされながら先生は、「……理科ノ不平ヲヤメテ白雲裡に一頭地ヲ抜キ来レ」と達筆に書かれた葉書を取り出して、「僕は始終学校の不平を洩していたものでこんな葉書を寄こされたよ」といって苦笑しておられた。