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あかくら
中谷宇吉郎集 第一巻
中谷 宇吉郎
中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第一巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:赤倉、英国日食班の印象、寒月の「首縊りの力学」その他、球皮事件、「光線の圧力」の話、御殿の生活、雑魚図譜、雑記、霜柱と白粉の話、十二花の雪、スポーツの科学、先生を囲る話、「先生を囲る話」について、続先生を囲る話、寅彦夏話、冬彦夜話、文化史上の寺田寅彦先生、雪の化石1、雪の話、リチャードソン。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 107,056 字 · 223 页
御道具の出し入れの時くっついてはいって、埃りっぽい旧い桐の箱をそっと開けてみると、黄色くなった色紙だの、少し剥げた能面などがはいっていた。この一の蔵は何となく気味悪い処として、その後殆んどはいってみないことにしていた。二の蔵には普通の道具がはいっていて、この方は別に何とも感じなくて、むしろ悪戯には適した場所の一つとなっていた。一の蔵を怖がった理由は当時はちっとも考えなかったが、能面のせいだけではないようである。
私が六年になった時、東京における御殿の生活に、色々よくない事件が引つづいて起って、結局御殿は町に寄附されることになった。町ではこの御殿をそのまま女学校にした。その頃になると、御殿だけは寄附して敷地は町に売るような形式になったことに対して、不平がましいことをいう町の人が幾分あるような時代になっていた。Mの祖母は、子供の私にそのことを繰り返していって聞かせた。
御道具類は町の公会堂で入札に出された。その陳列を見に行った時に、能衣裳やら面やら、見覚えのある御道具が沢山あったが、当時はただ軽い好奇心で、心探しに見歩いただけであった。丁度学校で教わっていた小野道風の色紙などもあった。