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あかくら
中谷宇吉郎集 第一巻
中谷 宇吉郎
中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第一巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:赤倉、英国日食班の印象、寒月の「首縊りの力学」その他、球皮事件、「光線の圧力」の話、御殿の生活、雑魚図譜、雑記、霜柱と白粉の話、十二花の雪、スポーツの科学、先生を囲る話、「先生を囲る話」について、続先生を囲る話、寅彦夏話、冬彦夜話、文化史上の寺田寅彦先生、雪の化石1、雪の話、リチャードソン。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 107,056 字 · 223 页
ところでこの魚が難物である所以は形よりもその色にあった。全体が銀白色でそれが赤、黄、コバルトなどにきらきらと輝いているのである。その色がまた非常に純粋でほとんど完全な単色のように見えるのである。それを白い皿に載せて窓際に置いてさてよく見ると益々大変である。ちょっと眼の位置を変えると今までコバルト色に光っていた所が真赤に輝いたりするのだからこれはどうしても薄膜による光の干渉の色に違いない。その上に頭の部分に意外に強い鮮かな青色があるのが妙だと思ってよく見ると、それは澄み切った冬の空の色が鏡面反射で映っているのだということが分った。そう思って身体の全体を見直すと、前の干渉の色に混ってこの種の反射の光も所々に見える。これを皆描くとなるとどうも只事ではないのだが、まあ試しの心算で根気よく一々の色を拾って少し大胆に純粋な色を思い切って塗り始めてみた。個々の色はかなり似たような色が出るのでそれに力を得て、一気に大体描き上げてしまった。案外巧く行ったかなと思いながら、内心少し得意になってちょっと離れて見直して見ると、まるで何のことはない、下手な千代紙細工のようなものになっているのですっかり落胆してしまった。