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あかくら
中谷宇吉郎集 第一巻
中谷 宇吉郎
中谷宇吉郎『中谷宇吉郎集 第一巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:赤倉、英国日食班の印象、寒月の「首縊りの力学」その他、球皮事件、「光線の圧力」の話、御殿の生活、雑魚図譜、雑記、霜柱と白粉の話、十二花の雪、スポーツの科学、先生を囲る話、「先生を囲る話」について、続先生を囲る話、寅彦夏話、冬彦夜話、文化史上の寺田寅彦先生、雪の化石1、雪の話、リチャードソン。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 107,056 字 · 223 页
久しぶりの心のゆとりで、静かにそれを拾い上げて見た。するとその一片は、風雨に曝されながらも、現代に珍しい型のめんこの破片であることが分った。何かやはり人の面につくったものらしく、そのグロテスクな顔付が、どうしても現代の品ではない。少し驚いて、麦畑の中をなおよく見廻して見ると、同じようなめんこやその破片が、ぽつりぽつり見つかってくる。今まで気の付かなかった自分の足跡の下からも出てくる。
蛇の丸くなっているもの、玉という字が模様のように太く書いてあるもの、役者のような顔、鬼の面らしく角が生えていて、その角が欠けてわずかに痕をとどめているものなど、随分珍しいものばかりである。破片まで入れると十個に近い。
めんこの一つ一つを大切に撫でて、土を落しながら、日の当っている麦畑を出て、海の見える松の下に腰を下した。そしてぼんやりとめんこのことを考えてみた。暖かい光を背にうけていると、汗ばむ位の気持だった。
こんなことを空想してみた。
江戸時代に、将軍や旗本がいた時代に、江戸では沢山の塵を持てあまして、それを帆かけ船に乗せて、東京湾の岸伝いに波の静かな所をぬけて、このあたりの海岸に捨てて行く。