轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんちょうき

新潮記

山本 周五郎

「北海道新聞」1943(昭和18)年6月12日~12月20日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 155,541 字 · 305 页

青空文庫

ほとんどその直後のことだ、おそらくそれまで必至の機会を覘っていたのであろう、秀之進が踵をかえして、五歩とはゆかぬうち、うしろへ人のけはいがしたと感ずるより早く、非常な勢いでかれの背へ斬りつけた者があった。

秀之進は本能的に道の左がわへ跳び、二の太刀に備えながら大剣の柄に手をかけた。闇討を仕掛けた者も無言、秀之進も声を出さなかった。――誰だろう、暗い道のうえをすかし見ながら秀之進はじっと眸を凝らした。

相手は二間あまり先に立っていた。初太刀を仕損じたので苛だっているらしい。下段に構えている切尖が、まるで獲物にとびかかろうとする蛇のように波をうっていた。

秀之進は久木直二郎との立合いを思い出した。「水戸っぽう」という言葉もあたまへうかんだ。つい今しがたの、小四郎少年の自分に対する疑惑の態度も思いかえされる。

――水戸というところは荒っぽいな、そう思った。――だがこいつは、本当におれを斬るつもりらしいぞ。

かれは打ちこんで来たらこうと抜刀の機をはかりながら呼吸をつめていた。……向うから走って来る人の足音が聞えた。

走って来た人の足音は、四五間さきでぴたっと止った。