轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんちょうき
新潮記
山本 周五郎
「北海道新聞」1943(昭和18)年6月12日~12月20日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 155,541 字 · 305 页
かなり久しい時間が過ぎてから、ふとかれの耳に遠い人ごえが聞えてきた。風の具合で高くなったり消えたりする。高くなるときは言葉まではっきりと聞きわけられた。
「夷狄を討つ……先生が仰しゃるのは……それは蒙昧の説だ」
「おれは思う……まあ黙れ」
「これだ、これが先決問題だ……蒙昧であるかないかは……」
なにか議論をしているらしい。ふりかえってみると、四人づれの若い武士たちが、砂丘の下をこちらへ歩いて来るのがみえた。そして秀之進がふりかえるのといっしょに、かれらもまた一斉にこっちを見た。――ゆうべおなじ宿へ泊った客だな、秀之進はそう思った。
四人はずんずんこちらへやって来たが、なかで眉毛の太く眼のするどい、背丈のぬきんでたひとりが、大股に秀之進のそばへ近寄りながら声をかけた。
「やあ、昨夜はやかましかったでしょう」
「…………」どうして自分を同宿者と知っているのか、秀之進は不意をつかれて答えに困った。
「朝になって女中からあんたが隣室に泊っていたと聞きましてね、それなら少し遠慮するんだったと後悔しましたよ」
「そんなことはありません、よく寝ました」
「おいこっちへ来ないか」