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ふたばていよだん

新編 思い出す人々

内田 魯庵

内田魯庵『新編 思い出す人々』。同一底本的分册已合并为一书。收入:二葉亭余談、淡島椿岳、鴎外博士の追憶、硯友社の勃興と道程、最後の大杉、斎藤緑雨、三十年前の島田沼南、美妙斎美妙、二葉亭四迷、二葉亭四迷の一生、二葉亭追録、明治の文学の開拓者、四十年前、露伴の出世咄。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,401 字 · 427 页

青空文庫

をもやはり中坂に縁があるように思っていた。

すると文庫が創刊されてから二、三カ月目、ふと或る夕方中坂上をいていると、偶然見附けたのが硯友社の標札であった。硯友社が如何なる人の団体だとも、思案外史が如何なる人であろうとも考えないで、ただ何かなしに行衛を知らなかった未見の友の有処を突留めたような気がして会心の微笑を禁じ得なかった。

これより先き数年、今は電車通りの裏となってる神保町筋の今川小路に武蔵屋という絵双紙屋があった。その頃は専門の雑誌屋がなくて絵双紙屋で雑誌を売っていた。いたって貧乏なケチな店だったが、『金毘羅利生記』を出版してマンマと失敗した面胞だらけの息子が少しばかり貸本屋学問をして都々逸や川柳の咄ぐらいは出来た。この店先きで折々邂逅う五分刈の大きな頭の近眼鏡をギラギラ光らした青年があった。いつでもドッカと腰を落付けては頻りに都々逸や川柳の気焔を揚げていた。何処の人か知らぬが、雑誌や新刊書を何でも洩れなく読む人だと感心して、いつでもその気焔咄を謹聴していた。

一度会ったら忘れる事の出来ない特徴のある人だから、その後往来で摺違う度にアノ人だなと思った。