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ふたばていよだん

新編 思い出す人々

内田 魯庵

内田魯庵『新編 思い出す人々』。同一底本的分册已合并为一书。收入:二葉亭余談、淡島椿岳、鴎外博士の追憶、硯友社の勃興と道程、最後の大杉、斎藤緑雨、三十年前の島田沼南、美妙斎美妙、二葉亭四迷、二葉亭四迷の一生、二葉亭追録、明治の文学の開拓者、四十年前、露伴の出世咄。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,401 字 · 427 页

青空文庫

殊に徳川末季の江戸生活には三百年の太平に弛緩した廃頽気分が著るしく濃厚であって、快楽主義の京伝や三馬の生活が遊戯的であったは勿論、道学の凝まり仁義忠孝の化物のような馬琴すらも『仇討義理与犢鼻褌』というような、外題を見ても内容が察しられる意外の遊戯的な作を何篇も作っておる。この浮世三分五厘と脂下って世間を茶にする江戸作者の洒落な風は江戸の文化に親しむものの大部分が浸染していたので、強ち硯友社のみに限らなかった。一と頃根岸党と歌われた饗庭篁村一派の連中には硯友社に一倍輪を掛けた昔の戯作者気質があった。今でこそ謹厳方直な道学先生となって門下に煙がられている坪内博士も、春廼舎朧時代にはやはりこの気分が濃厚であったのは雅号でも推量られよう。その頃から露西亜の深酷な苦鹹の文学を味得して、風采人品からいっても微塵も戯作者気のなかった二葉亭でさえも半面にはまたこの気分をかなり多量に持っていた。看方に由てはこの遊戯気分が都会文芸の一要素となってるので、永井荷風や小山内薫や夏目漱石の提撕を受けた三田派や人生派の芸術も著るしくこの戯作者的気分を持っている。強ち硯友社ばかりが戯作者風ではなかったのだが、硯友社は思う存分に傍若無人にこの気分を発揮したので、硯友社が単独で戯作者の毀を背負ってしまった。