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ふたばていよだん
新編 思い出す人々
内田 魯庵
内田魯庵『新編 思い出す人々』。同一底本的分册已合并为一书。收入:二葉亭余談、淡島椿岳、鴎外博士の追憶、硯友社の勃興と道程、最後の大杉、斎藤緑雨、三十年前の島田沼南、美妙斎美妙、二葉亭四迷、二葉亭四迷の一生、二葉亭追録、明治の文学の開拓者、四十年前、露伴の出世咄。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,401 字 · 427 页
かれこれ小一時間も自分たちと一緒に避難していたろう。余震の絶間なく揺る最中で、新宿から火事が出たとか、帝劇が今燃えてるとかいう警報が頻りであったので、近所隣りの人々がソワソワして往ったり来たりしていた。
そこへ安成二郎がコダックを下げて来て、イイ獲物もがなとソコラココラの避難の集まりを物色していた。
「ドウだい、」と私は安成に向っていった。「大杉に何処かソコラの木の下に立ってもらってアナーキストの避難は面白かろう。」
大杉は笑っていた。安成がこの写真を撮ったら好い記念だったろうに、惜しい事をした。(後に聞くと、それから大杉の自宅へ行って大杉夫妻を庭前で撮したのだが、名人だから光線が入ったのだそうだ。)
その晩は恐怖に明けて翌る朝、近所の川本の原に大勢避難していると聞いて容子を見に行った戻りに大杉の家を尋ねると、マダ寝ていたが私の声を聞くと起きて来た。
「能く家の中に寝たネ、」というと、
「大抵大丈夫だろうと度胸をきめて家の中で寝た。尤も、」と塀の外を指して、「彼処へ避難所を拵いて置いて、率ざといえば直ぐ逃げ出す用意はしていた。アナーキストでも地震の威力には協わない、」