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ふたばていよだん
新編 思い出す人々
内田 魯庵
内田魯庵『新編 思い出す人々』。同一底本的分册已合并为一书。收入:二葉亭余談、淡島椿岳、鴎外博士の追憶、硯友社の勃興と道程、最後の大杉、斎藤緑雨、三十年前の島田沼南、美妙斎美妙、二葉亭四迷、二葉亭四迷の一生、二葉亭追録、明治の文学の開拓者、四十年前、露伴の出世咄。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,401 字 · 427 页
二、三日経つと大杉が検挙されたという風説が立った。その前にも地方から来た或る男が、大杉は拘留されて留置檻へ入れられたまま火事で焼死んだそうだネというから、大杉は直ぐこの近所にいて、毎日乳母車を押して運動しているといって無根の風説を笑った事があるので、復た例の風説かと一笑に附していた。
するとその翌る晩、十一時過ぎに安成が来て、「大杉が行方不明となりました、」と痛く昂奮して、「十六日鶴見へ行ったぎりで帰って来ません。家でも心配して八方捜しているがサッパリ踪跡が解りません。検挙されたなら検挙されたでドコかの警察にいそうなもんですが、ドコの警察にもいません。警察では検挙したものを検挙しないと秘す事は絶対にないので、全く警察にはいないようです、」と満面不安の色を湛えて昂奮して話した。
血腥い噂がそこら中に広がってる時である。女のような美術家が袋叩きにされて半死半生になったという噂も聞いている。温厚玉のような君子が歴とした官職の肩書附きの名刺を示しても聞かれないで警察へ拘留されたという話も聞いている。ましてや大杉のような官憲からも睨まれ民衆の一部からも呪われてる人間は何時どんな処で奇禍を買わないとも限らんから、行方不明になったと聞くと不安に堪えられなかった。