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ふたばていよだん
新編 思い出す人々
内田 魯庵
内田魯庵『新編 思い出す人々』。同一底本的分册已合并为一书。收入:二葉亭余談、淡島椿岳、鴎外博士の追憶、硯友社の勃興と道程、最後の大杉、斎藤緑雨、三十年前の島田沼南、美妙斎美妙、二葉亭四迷、二葉亭四迷の一生、二葉亭追録、明治の文学の開拓者、四十年前、露伴の出世咄。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 215,401 字 · 427 页
何の事はない、緑雨の風、人品、音声、表情など一切がメスのように鋭どいキビキビした緑雨の警句そのままの具象化であった。
私が緑雨を知ったのは明治二十三年の夏、或る温泉地に遊んでいた時、突然緑雨から手紙を請取ったのが初めてであった。尤もその頃専ら称していた正直正太夫の名は二十二年ごろ緑雨が初めてその名で発表した「小説八宗」以来知っていた。(この「小説八宗」は『雨蛙』の巻尾に載っておる。)それ故、この皮肉を売物にしている男がドンナ手紙をくれたかと思って、急いで開封して見ると存外改たまった妙に取済ました文句で一向無味らなかった。が、その末にこの頃は談林発句とやらが流行するから自分も一つ作って見たといって、「月落烏啼霜満天寒さ哉――息を切らずに御読下し被下度候」と書いてあった。当時は正岡子規がマダ学生で世間に顔出しせず、紅葉が淡島寒月にかぶれて「稲妻や二尺八寸ソリャこそ抜いた」というような字余りの談林風を吹かして世間を煙に巻いていた時代であった。この時代を離れては緑雨のこの句の興味はないが、月落ち烏啼いての調子は巧みに当時の新らしい俳風を罵倒したもので、殊に「息を切らずに御読下し被下度候」